植田正治(1913-2000、鳥取県生まれ)は、故郷である山陰地方を生涯の拠点とし、平面的に人物を配置した独特な演出写真で知られる写真家です。これまでも展覧会、写真集、書籍や雑誌などでくり返し紹介され、国内外で多くの人々に愛されてきました。植田のことを「砂丘の写真家」としてイメージする人も多いかもしれません。しかし、戦前から長きにわたって展開された彼の制作活動を振り返ると、実は砂丘で撮影された作品は、それほど多くないのです。
では、植田正治はどのように作品をつくったのでしょうか。また、写真家としての彼のイメージはいかにしてつくられたのでしょう。この展覧会では、新発見の作品を含む初期から晩年までの代表作約150点を通じて、一連のユニークな作品が生まれた背景、手法や作風の変化、人々への受け入れられ方などを読み直し、植田の世界観と魅力にあらためて迫ります。