野に咲く花も含め、常に花を飾ることを好んだという洋画家・中村研一(1895~1967)。小金井に居を構え自然を愛した中村にとって、花は身近なモチーフであり、また生活に欠かせないものであったに違いありません。本展覧会では中村が好んだ“花”をモチーフにした絵画、陶芸作品を紹介します。油彩で鮮やかに描かれた生命力あふれる花、水彩表現によるみずみずしく可憐な花など、様々な表情を見せる花たち…その日その時の花の美しさを、中村は確かな描写力によって表現しています。中村の写実表現からは、自然を愛でるまなざしの中にモチーフの本質と向き合う厳しさを感じることでしょう。暖かな陽気に包まれた芽吹きの季節、はけの森に咲く花々をどうぞお楽しみください。
小特集「中村研一と光風会」
2014年4月に開催される光風会第100回展にちなんで、所蔵作品から中村の光風会出品作品や関連作家の作品・資料を紹介します。官展での活躍が知られている中村ですが、仏留学から帰国した翌年に光風会会員となり、生涯にわたって作品を発表しました。精力的に活動する中村を慕い、数多くの画家達が訪れ、親交を深めたこの小金井の地で、中村の交友関係と光風会史を振り返ります。