江戸時代後期から明治時代にかけて、現在の静岡県西部にあたる遠州地方では、江戸画壇の大御所的存在であった谷文晁の流れを汲む多くの南画家を輩出しました。
渡辺崋山の弟子で、おもに江戸で活躍した福田半香(1804~64)は、その遠州南画界を牽引した重要画家の一人です。遠州見付宿(現在の磐田市)に生まれた半香は、明・清代の中国絵画を間接に、また直接に学ぶなどして自己の画風を確立し、とりわけ高度な画技に裏打ちされた山水画を得意としました。
本展では、崋山門下の双璧であり生涯の友であった椿椿山をはじめ、平井顕斎など半香とその交遊圏にいた人々の作品もあわせて展示いたします。