栃木県立美術館では、「日韓国民交流年」にあたる本年、韓国文化の真髄である李朝のやきものを紹介する展覧会「心のやきもの李朝-朝鮮時代の陶磁-」を開催します。
日本では李朝と称されることが多い朝鮮時代[1392-1910]の陶磁は、500年余にわたる歴史のなかから生まれた個性豊かなやきものです。それらは中国磁器や前代の高麗陶磁の影響を受けながらも独自の発展を遂げました。朝鮮時代の前期を特徴づけるのが粉青(日本では三島とよばれる)ですが、全期を通じて主流を占めたのは白磁でした。「白」にこだわりながら多様な展開を見せ、粉青では白化粧の上からの装飾、白磁においては青花、鉄砂、辰砂などの装飾技法が生まれました。それらの作品からは、外見的な整斉や華美を求めず、内面的なものを重視する造形への志向が強く感じられます。朝鮮時代の政治・倫理理念となっていた儒教の精神風土が、陶磁器にも影響を与え、心のやきものとも言える独特の造形を作り上げたのです。
本展では朝鮮時代陶磁の最高傑作の一つとして声価の高い「青花辰砂蓮花文壷」や、戦後初めて紹介される「青花草花文面取壷」など、世界第一級の韓国陶磁コレクションを誇る大阪市立東洋陶磁美術館の所蔵品を中心に約120点を紹介します。珠玉の朝鮮時代陶磁の展観は、韓国に対する理解を一層深める機会となることでしょう。