50年前、初めてのオリンピックに沸く東京を舞台に、過激でスマートな活動を繰り広げたグループがありました。彼らの名は「ハイレッド・センター」。高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之の頭文字の英訳を並べたこの名称は、平穏な日常を「撹拌 (かくはん)」して、高度経済成長の道をまっしぐらに進む人びとの意識を覚醒させる、「匿名の行動」のために1963年に作られました。
冷戦時代の核問題の緊張を背景に、日比谷の帝国ホテルで「シェルター計画」を実施。国際都市をめざす東京の街頭で白衣を着用し、銀座の並木通りで「首都圏清掃整理促進運動」を行うなど、ハイレッド・センターのイベントは、ユーモアをもって鮮やかな切り口で社会を批評していきます。それまでの「芸術」の枠組みをはるかに超えた彼らの「直接行動」は、世界的にみても斬新なものでした。
本展は、半世紀を経てハイレッド・センターの仕事を総合的に紹介しようとするものです。「直接行動」を記録した記録写真や文献資料、映像作品を中心に、主要な構成員たちの同時期のオブジェや絵画などの作品群を加えてその活動を多角的に展覧し、みなさまを「撹拌」いたします。