宮脇晴 (みやわきはる)(1902-85)は愛知が生んだ洋画家の一人です。豊田市美術館ではその代表的な作品を収蔵し、常設展示しています。本展は当館所蔵の作品に、他館で所蔵する優品を加え、さらにはその画業の出発点で大きな影響を受けた、岸田劉生らの「草土社」や、それに刺激を受けて結成された地元「愛美社」の代表作家たちの作品約130点を展示して、宮脇の全体像を振り返ってみようとするものです。構成は大きく二つに分けています。第一部は「知のリアリズム」。劉生や草土社の影響のもとにあった1920年代までの細密描写の時代。宮脇を含む愛美社の若い画家たちが、その青春の全てをかけて挑んだ写実絵画の成果を紹介します。続く第二部の「愛のリアリズム」では、細密描写を離れ、自己の表現追求へ変化する1930年代以降の宮脇作品を紹介します。この時代の宮脇は、ひたすら家族やこの世の中にある愛すべきものを題材に描き続けます。視点に客観性や主観性の違いはあっても、第一部・第二部ともに宮脇晴の人間に対する興味と深い愛にあふれています。作品から伝わるメッセージに耳を傾けてみてください。