国内外で高い評価を受けている八戸市出身の版画家戸村茂樹氏は、心的風景を自然に託して描くことで知られています。風にそよぐ葉や、流れる雲など、時の移ろいを感じさせる作品が多く、色彩を排除した銅版画やドローイングであることから、むしろ鑑賞者の想像をかき立てて止みません。
銅版画は金属の板に溝を作り印刷する凹版の一つですが、多様な描画方法があり、作家は主題をより効果的に表すために様々な技法を使い分けて版をつくっています。
本展では、当館所蔵の作品を中心に戸村茂樹氏の世界を紹介します。また、作家のご協力により銅版画の原版や試刷りなどで、銅版画作品の制作過程もあわせて紹介します。
プレス機によって反転された世界から、作品に込められた空気感を、一人一人に感じ取っていただければ幸いです。