1950年代後半から今日まで、写真の第一線を走り続ける篠山紀信(1940年生まれ)。社会の話題をさらい、時に賛否両論を巻き起こしたその活動は、常に時流を見越し、時代を先導してきました。これまでに発表された写真は、アイドル、俳優、スポーツ選手といった著名人から、都市と建築、ヌードと自然、伝統文化まで極めて多様な対象を扱っています。これらおびただしい写真の数々には、篠山の嗅覚が捉えたその時々の“旬”が、いつでも的確に映し出されているのです。本展は、篠山が50年間にわたり撮り続けてきた膨大な量の写真の中から、「人々」に焦点を当てて、厳選しました。それらは、5つのセクションで紹介されます。GOD(鬼籍に入られた人々)、STAR(すべての人々に知られる有名人)、SPECTACLE(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)、BODY(裸の肉体―美とエロスと闘い)、ACCIDENTS(2011年3月11日―東日本大震災で被災された人々の肖像)。そこに写された人々と出会うことで、我々は自分たちの生きてきた時代や今生きている社会を、まじまじと感じ取ることができるはずです。
“写真の神様が舞い降りてくれた”と篠山が言う傑作の数々が、美術館の空間に合わせて拡大されて展示されたとき、我々はただただ「写真力」の凄味に度肝を抜かれて圧倒されることでしょう。熊本、東京ほか日本各地を巡回してきた話題の展覧会が、満を持して遂に新潟に登場します!