本展覧会は、岐阜県現代陶芸美術館のコレクションを中心に、いわゆる「ラテン」の国に注目して陶芸作品をご紹介するものです。
当館では本展覧会に向けて、一般の来館者からアンケートを採らせていただきました。その結果、「ラテン」と聞いて連想する言葉には、「情熱的」や「陽気」といった一様に明るく楽しそうなイメージが浮かびました。ところが、「ラテン文学」「ラテン音楽」「ラテン人」などの定義を調べると、その範囲は必ずしも重なってきません。「ラテン語」は古代ローマに端を発しますが、そこから派生した言語はイタリア語、スペイン語、フランス語と多岐にわたります。スペインやポルトガルが植民地を設けた中南米の地域も「ラテン」アメリカと呼ばれ、「ラテン」のイメージの一端を担っています。アンケートでも、連想する国名としては、スペイン、イタリア、ブラジル、アルゼンチンなど多様な国の名前が並びました。
これを踏まえて、本展覧会では、ヨーロッパのラテン諸国の陶芸作品とともに、これまでほとんど紹介されてこなかったラテン・アメリカの陶芸作品もご紹介します。そして日本とのかかわりにも触れながら、ラテン文化の多様性と、根底に流れる共通性をのぞいてみたいと思います。