青緑色の美しい釉薬で覆われたうつわ「青磁」が完成したのは、後漢時代頃 (AD25~220年) の中国においてです。青磁の生産は長い間、中国の独壇場でしたが、10世紀ごろになってその技術が朝鮮半島に伝わり、高麗青磁が誕生し、線刻や象嵌 (ぞうがん) などの装飾を伴うものへと発展していきます。さらに朝鮮時代の15~16世紀頃には粉青沙器 (ふんせいさき) と呼ばれる青磁の技術をもとにした白いやきものも作られました。
日本では朝鮮半島からの技術移入を経て、17世紀初頭に国産磁器・伊万里焼の生産が始まります。その中で青磁も作られるようになり、染付を組み合わせた日本独特の新しい装飾の青磁を生み出しました。そして伊万里焼の技法をもとに献上用へと昇華させて作られた鍋島焼において、日本の青磁は美の頂点を極めました。
今展示では伊万里焼・鍋島焼の青磁を中心に、中国・朝鮮半島の青磁も併せて、当館所蔵の青磁の名品を展示いたします。同じ「青磁」でありながらそれぞれの作品で異なる色、そして青磁に映えるそれぞれの装飾にご注目ください。 (約80点展示予定)