19世紀後半のヨーロッパ、とりわけフランスでは、豊かな近代市民社会が成熟するに従い、従来の神話画、宗教画や歴史画といった伝統的な絵画に代わり、個性溢れる芸術家たちによって、同時代の市民をとりまく現実の風景、風俗を題材とした新しい絵画表現が創造されていきました。その中でそうした近代絵画の成立と展開に最も大きな役割を果たしたのが、印象派の画家たちでした。彼らの創造した芸術は、以後の20世紀へと続く画家たちにも大きな影響を及ぼしました。
本展では、館蔵のフランス近代絵画コレクションより、印象派の先駆者ブータンや、モネ、ルノワール、シスレー、ピサロら印象派の画家たちをはじめ、印象派以後に次々と新しい絵画表現を試みたシニャック、クロッスなどの新印象派や、ヴラマンク、ドンゲン、デュフィといったフォヴィスムの画家たちの作品など約40点を展観し、19世紀後半から20世紀前半にかけて個性溢れる芸術家たちによって創造された多彩なフランス近代絵画の展開をご紹介するものです。