本学名誉教授である向井周太郎氏のデザイン哲学が凝縮された作品「世界プロセスとしての身振り (Gesten-miburi-als Weltprozess)」を紹介する展覧会を開催いたします。
本作品は、2000年、ドイツで行われたハノーファー万国博覧会の併設事業として、ボンのドイツ連邦共和国アート&エキジビションホールで開催された「今日は明日―経験と構成の未来」展に出品されました。
シルクスクリーンプリント30点から成る本作は、向井氏自身の手によって集められた古今東西の図像がその論考とともにテーマ毎に構成されています。人間身体 (ミクロコスモス) の「身振り」と大自然 (マクロコスモス) の「身振り」を探る内容となっており、向井氏のデザイン学の基盤を形成する「形態学 (モルフォロギー) 思考」が凝縮されています。本展では、向井氏の監修に加えて、ドイツでの展覧会においてキュレーションを務めたケルン・インターナショナル・スクール・オブ・デザイン教授のミヒャエル・エールホフ氏を共同監修に迎え、当時と同様に書物に見立てられた空間として当館アトリウムに作品を設置します。「中空に吊られた30枚のパネルが、空間のなかにひとつのパサージュとして本宇宙を形成する」というドイツ展での向井氏のコンセプトは、本展においても吹き抜けのまさにパサージュといえる空間に展示されることで、より明確に体感できることでしょう。
現在も活躍する両氏の監修による本展は、2000年の再現にとどまることなく現在の問いかけとして発信します。さらに、作品への理解を深めるために評論家やデザイナーなど10名以上の著者による論考を収録した図録の刊行やトークイベントを予定しており、向井氏を中心としたデザイン学の対話を活発に行います。