長倉洋海の見てきた世界。それは大手メディアが伝えるよりも、豊かで、美しく、そして、温もりのあるものだった。そのことが、私たちにいま何が大切なのかを静かに語りかけてくるに違いありません。
釧路市出身の写真家、長倉洋海 (1952年~) は北海道釧路湖陵高等学校を卒業し、時事通信社に入社。その後、フリーの写真家に転身後は世界を巡りながら、人間をテーマに制作を続けてきました。長倉洋海のフォトジャーナリズムの原点ともいえる、アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードとの出会いを記録した作品群は、マスメディアで広く取り上げられ反響を呼びました。テロによりマスードが倒れた後も、彼の故郷・パンシールの学校の子どもたちに支援を続け、写真を撮り続けてきました。本展では、このアフガニスタンで撮影された「マスードとの出会い」を序章として、長安 (現西安) からイスタンブールまで、4年がかりで旅した「シルクロード」、地球温暖化で氷が溶け始めている「北の島・グリーンランド」、その海面上昇により沈んでしまうかもしれない「南の島・カピンガマランギ島」、過酷な震災をくぐり抜けた子供たちの表情と思いを綴った作文で構成される「子どもたちからの元気便」をメインに構成します。