清川泰次 (1919-2000) のアトリエ兼自宅を一部改装し、2003年に世田谷美術館分館として開設した清川泰次記念ギャラリーは、今年開館10年目を迎えます。そこで今年度は「清川泰次の世界」と題し、清川泰次の足跡を3期に分けて紹介します。Ⅰ期展では、若き日の具象的なモチーフが描かれた作品から、抽象絵画の潮流の中心となっていたアメリカへ1951年に渡米した頃までの作品を紹介しました。
1954年、3年間のアメリ力生活を終えた清川泰次は、フランスやギリシャといったヨーロッパ各国や、エジプト、インドなどを旅行後、帰国しました。この旅行では、パリの藤田嗣治のアトリエにも訪れ、そこで清川泰次が撮影したヌードモデルの写真は、雑誌『アサヒカメラ』(1955年2月号) の表紙に使われ、話題となります。帰国後の清川泰次は、作品が雑誌『群像』の表紙に使われるなど精力的に制作活動を続け、1963年から再びアメリカに3年間滞在し、現地の画廊などで作品を発表しました。その後、抽象的な表現を追求した清川泰次の作品は、真っ白な画面と線で構成された<白の世界>のシリーズへと展開していきました。
Ⅱ期展では、こうした時代の清川泰次の絵画作品約15点に、清川泰次が藤田嗣治のアトリエで撮影した写真もあわせてご紹介します。