フランス西部のブルターニュ半島先端に位置するカンペール市は、13~15世紀の聖堂やその周辺の古い街なみ、宗教的祭礼のパルドン祭、陶器の「カンペール焼き」などで知られ、近年観光地としても大いに脚光を浴びています。
1872年に開館したカンペール美術館には、ルネサンス、ロココの巨匠の作品もありますが、とりわけ注目されるのは、ブルターニュ地方の自然、信仰、風俗などを描いた近代の作品群です。時には厳しく人間に襲いかかる豊かな自然、人々の素朴でありながらも深い信仰心、伝統的で地方色豊かな生活様式など、ブルターニュの民衆の生きる喜びと悲しみを、手堅いリアリズムで平明に描いたその作品群は、見る者に深い感銘を与えます。
本展では、カンペール美術館所蔵品の中から、ブルターニュ地方で生み出された独自の写実的な絵画約60点をご紹介いたします。普段日本で目にする機会の少ない、ブルターニュ地方の素朴で真摯なリアリズムと出会えるまたとない機会です。ぜひご期待ください。