伊能忠敬は今から200年ほど前、江戸時代後期に生きた人で、それまでにない正確な日本の地図である「大日本沿海輿地全図」を作成したことで知られています。忠敬は天文学を学びたいという幼いころからの夢があり、それをかなえるために50歳を越えてから佐原村、現在の千葉県佐原市から江戸へ出て天文学や測量について学び始めました。忠敬が行った測量の方法は天体観測を取り入れ誤差を少なくしたことでした。近代地図に欠かせない経度、緯度の値を星の動きから求めたことは当時としては極めて斬新な試みでありました。
地球の大きさを知るには緯度1度の長さを求めることが必要であるとして、そのために全国測量を目的に日本の沿岸を隈なく歩き出します。昼間は交会法、導線法の方法で測量を行い、夜になると星の高度を求め、木星の4大衛星の動きを観測しました。星の高度からその観測場所の緯度が分かりました。全ての測量日数の内、三分の一以上の日は夜の観測を行ったことが分かっていますので、中でも地図作成の上で原点となる全国数十ヵ所の地点では、晴天の夜を迎えるまで幾日も待ちつづけたといいます。このようにして、17年をかけた測量で「大日本沿海輿地全図」は完成したのです。この地図は忠敬の時代以降、およそ百年の間、最も正確なものとして使われました。番組ではこうした天文学者としての伊能忠敬像を紹介していきます。
●上映開始時間
土・日・祝日・春休み(3/26~4/4) 13:30、15:00
(3/29のみ18:00の回あり)