千葉県船橋市で代々医業を営んできた清川家が三代にわたり収集・保存してきた美術品184点が、平成11年に船橋市へ寄贈されました。
この清川コレクションには、岸田劉生らとともに草土社を創設し、『白樺』の活動にも参加して武者小路実篤と交友のあった、画家・椿貞雄の作品が多くあります。これは、二代弘道氏が椿と親交があり、また、三代尚道氏は学生時代に椿に師事し、制作に励んだ体験により、長く清川家と椿の交流があったことによるものです。
武者小路は椿について「自己の道を実に忠実にわき目を見ず進み切って、ますます熱心に仕事をした」と、そのひたむきな写実の道へ突き進む制作姿勢を称え、また、椿は10歳年上の武者小路について「僕にとっては親の様なもので、何もかも教ってきた。どんなに苦しい時でも武者サンの事を思うと元気にされ希望を与えられる。」と、椿にとり師の岸田劉生とともに、武者小路が大きな存在であったことを知ることができます。
本展覧会は、船橋市のご協力のもと、普段見る機会の少ない、清川家が代々収集してきたコレクションから椿貞雄の作品を中心に展示し、関連の資料などとともに椿貞雄と実篤との交友を紹介いたします。