「大事なモノは見れば見るほど魂に吸いつき、
不必要なものは注意力から離れる。
ぼくはこれぞというところにカメラを向け、
フレームの真ん中にそれを据え、
ピントをギリギリまでよく合わせ、
「エイッ」とばかりに気合を込めてシャッターを切る。」
(『私の美学』あとがき)
書物で「調べる」。調べたあとに「見る」「感動する」「凝視する」。最後に「撮影する」。土門はこの五段階の手順を必ず踏んでいました。そうすることで見る側に迫ってくる力強い写真が撮られたのです。土門の美意識にふれ撮影された原始・古代美術や建築、工芸、やきもの、そして風景。その細部にまで迫ったカメラアイがとらえた作品は、まさに「凝視」することによって生み出されたものでした。
そして「ぼくの好きなもの」として挙げている三仏寺投入堂や高山寺石水院、薬師寺東院堂の聖観音や臼杵の磨崖仏群など、彼が愛した建築・仏像もあわせてご覧いただけます。
力強く美しいものをクローズアップでとらえた「土門美学」をぜひご堪能ください。
作品とともに、土門が所蔵していたコレクションの一部をご覧いただけます。
・揚羽蝶の水滴
・吹墨うさぎ絵の皿 伊万里
・ゆどの初め図の石皿 瀬戸
(いずれも個人蔵)