サルバドール・ダリ(1904-89)は、スペイン、カタルーニャ地方の地中海に面した小さな町、フィゲラスの裕福な家庭に生まれました。幼くして才能を示し、マドリードの美術学校に学んだ後、パリに出てピカソ、ミロ、ブルトンらと出会い、シュルレアリスムを代表する画家としての名声を確立していきました。
ダリの才能は幅広く、油彩、版画、彫刻、オブジェ、舞台芸術、宝石デザイン、広告デザイン、映画、そして文筆にまで及びます。彼はまた奇矯な言動とスキャンダラスな話題で注目を集めるとともに、さまざまなパフォーマンスを芸術の名において実践しました。
版画への愛好と造詣の深かったダリは、生涯に1600点以上の作品を残しています。絵画作品のイメージを継承したもののみならず、とりわけ文学作品のための挿絵を中心とした数々の版画集の制作をはじめ、果敢な取り組みをみせました。
本展では、圧倒的な素描力と鋭い洞察力が示されたダリの版画作品215点を中心に、その奇想天外なイメージの世界を紹介します。