日本が世界に誇れるものの中に、春夏秋冬という季節感があります。これは、自然や景観だけで生み出されるものではなく、ひとびとの生活の中からも見いだすことができるものです。
年とりの節分、梅雨明けの夏祭り、十五夜の月を待ち、来たる年の祝いに備える。これらの年中行事や通過儀礼は、私たち毎日の生活、あるいは一生の生活にかかすことのできないものです。しかし元来、これらの行事の多くは、実は修験(しゅげん)のひとびとを介して行われていたものであったと考えられています。
今回の企画展では、現在ではとらえられにくい修験の世界を紹介し、その時代における社会的役割を理解していただくとともに、中世近世をとおしてこの地域で活動していた修験寺院で、本山派聖護院末諸国二十七先達のひとつである笹井の観音堂とその配下を中心に、狭山の修験の実像について論及します。
修験の存在は、現在では山奥にある寺院、山伏姿、火渡りの行などといった断片的なものでしか知ることができません。しかしひとびとの生活に密着していた存在として、遠く忘れられていた修験の世界をかいまみることにより、狭山の原風景のひとつを知る機会となれば幸いです。
※講演会があります。詳細はお問い合わせ下さい。