織田信長、次いで豊臣秀吉が天下統一を目指していた群雄割拠 (ぐんゆうかっきょ) の時代。下克上も夢ではない実力主義の世界に生きた猛者 (もさ) たちは、あまたの逸話とともに新たな時代の扉を開きました。そして彼らの型に捉われない生き様は、戦の晴れ姿である兜に、かつてない斬新な形を生み出しました。
伊達政宗は額に三日月を頂き、黒田長政は雄々しい水牛の角を生やした兜をかぶる。その発想力・具現力が生み出した鮮烈な造形は、単なる奇抜さだけでなく、高い見識によって洗練された緊張感を漂わせています。
続く江戸時代、その独創性はより細密さを増し、刀を納める鞘 (さや) やその周辺の小柄 (こづか)、小刀、鐔 (つば) などで新たな発展を見せました。
戦国の世に花開き、太平の世で成熟した、サムライ・アバンギャルドをご堪能ください。