城は戦国の世の攻防の舞台であるとともに、美しい建築物として多くの絵師、画家たちの心をとらえてきました。江戸時代には、戦国時代の出来事をそのまま描くことがはばかられたために、太平記の時代に仮託したり、武将の名前を変えたりして、合戦の様子が描かれました。また、各地の名所を構成する要素として城を描く絵師もいました。時を経て往時の様子を留めない城も多くなりましたが、城址に歴史のロマンを見出す画家もいます。また、甍と壁の織りなす複雑な建築に構成の美を見出し、日本的な油画のモティーフとして好んで取り上げた画家もいます。本展では近世、近代において浮世絵、日本画、洋画などに描かれた城をテーマとした作品を集め、展観いたします。