このたび神奈川県立近代美術館 鎌倉では、「片岡球子 創造の秘密 日本画家のスケッチブックから」を開催いたします。
北海道札幌市に生まれた片岡球子(1905-2008)は、女子美術専門学校(現・女子美術大学)に学んだのち、1930年、25歳で院展初入選を果たします。戦争や試行錯誤の時代を経て、1952年、47歳で大観賞を受賞、院展同人となり、院展を主な舞台に奔放で独創的な絵画を発表し続けました。1982年に芸術院会員、1989年には文化勲章を受けて、現代の絵画界に大きな位置を占めています。
片岡球子は、103歳で亡くなるまでのおよそ80年間にわたる日本画家としての制作活動のなかで、多数のスケッチブックを残しました。鉛筆、水彩、パステル、フェルトペンなどで描かれたそれらのスケッチは、制作の初期段階で抱いた着想や感情が直接的に描き出された素描や、本画と比較すると制作の過程がよく見てとれる下絵であり、作家の創造の源泉、あるいは作品の成立根拠であるといえます。
本展では片岡球子のスケッチブックと本画を併せて展示します。日本画の世界にとどまらず広く現代の絵画に大きな問いかけを放ち続ける片岡作品、その煌めく強靫な仕事の展開を再確認できる貴重な機会となるでしょう。