絵を描くことは、生きる希望。
絵は、外に出られない私に代わり
多くの人と出会う自分の分身。
河合まことは、カラマツ林の中にたたずむ霧ヶ峰の療護園で、庭の草花を部屋に飾り、移ろう花の生命と静かに向き合いながら、茎や葉の輪郭、幾重にも重なる花びらの美しい濃淡まで、口にくわえた2本の筆で、ゆっくりと描いていきます。
花の魅力は生きていること。
日々変わって行き、じっとしてくれない。
それが楽しい。
河合氏は、高校在学中の交通事故で首から下の自由を失います。絶望の中、20歳の時「口で絵を描くこと」に出合います。絵を描くことの楽しさが閉ざしていた心を開き、やすらぎと生きる希望を与えました。36歳で「ボタニカルアート」(植物細密画)を描き始め、描いた花へのお礼にと、自作の詩も添えるようになります。
小さな花の命にそっと語りかけるように描かれた透明感あふれる作品が、皆さまの心を癒し、琴線にふれる1点であることを願っています。