あなたと暮らしたい
北欧を代表する陶磁器メーカーアラビア窯の歩みを紹介するとともに,日々の暮らしの中に息づくデザインを改めて見つめ直します。
1873年ヘルシンキ郊外のアラビア地区にて創業したアラビア窯は、北欧を代表する陶磁器メーカーであり、そのシンプルでありながら、ぬくもりのある良質な日用食器は世界中で愛されてきました。アラビア窯の特徴は「アラビア・アート・デパートメント(芸術部門)」と呼ばれる自由な創作の場を所属アーティストに与えている点にあります。アーティストは恵まれた環境の中で試験を繰り返し、意匠を研究すると共に量産品のデザインを担います。その自由な創作活動は、日用食器のデザインにも反映され、素晴らしい製品が次々に生み出されてきました。
アラビア製品の特色はカイ・フランク(1911-1989)の『キルタ』(1953-1975)に代表されるシンプルな形態と、ビルガー・カイピアイネン(1915-1988)の『パラティッシ』(1969-1974、1988、2000-)に代表される華やかな装飾にあります。戦後、世界に先駆けて集合住宅が誕生したフィンランドでは、収納スペースをとらない機能的なデザインの日用食器が好まれたと同時に、長く厳しい冬の生活に彩を添える華やかな装飾をまとった日用の器が求められたのです。
本展覧会では、アラビア窯の初期から現在の製品を展示し、アラビア窯の歴史を紹介します。併せてアラビア窯に在籍しながら個人作家としても活躍する陶芸家の作品を展示し、フィンランド陶芸の芸術的側面にも迫ります。岐阜県現代陶芸美術館コレクションを中心に約100点により、北欧を代表する陶磁器メーカーアラビア窯の歩みを紹介するとともに、日々の暮らしの中に息づくデザインを改めて見つめ直します。