呉市出身の南薫造は,明治末から大正・昭和にかけて,日本洋画壇の中心で活躍しました。東京美術学校(現・東京藝術大学)卒業後はイギリスに留学,印象派風の清新な画風を学び,母校の教授として後進の育成にも力を注ぎました。
その教え子たちもまた,戦後の画壇で実力を発揮してきました。荻太郎は,人間の生と死を重厚な造形で表現し,新制作協会を中心に活躍。渡辺武夫は,穏やかで詩情あふれる風景画を日展,光風会に発表。戦没画学生の遺作を集めた『無言館』の創設に関わった野見山暁治は,みずみずしい色彩と奔放な筆致で独自の画風を確立。新延輝雄は,日展,日洋展を中心に,光と影が柔らかに溶け合う清澄な風景画を描きました。本展では,郷土作家・南薫造の多大な功績を顕彰するとともに,個性豊かな教え子たちの多彩な魅力を約90点の作品により紹介します。