大藪雅孝(1937-)は少年時代を善通寺・丸亀に過ごし、香川県立丸亀高等学校を卒業後、東京藝術大学に進みました。27歳で母校藝大の助手となったのを皮切りに、40年間数多くのアーティストやデザイナーを育ててきたと同時に今日にいたるまで、絵画を中心に書、陶芸、彫刻、さらには作庭に至る幅広い作家活動を続けています。現在は、東京藝術大学名誉教授で、2007年度には香川県文化功労者として表彰されました。
大藪氏の画業を貫くものは、透徹した観照に基づく旺盛な研究と飽くことのない日本美の追求にあります。堅牢なマチエールを持つ独特な画風は、アクリル絵具と岩絵具を混合(ミクスト・メディア)する技法で、日本画・洋画の垣根を越え、現代の日本の絵画を築き、多くの支持を得ています。
卑近な人物、動植物そして風景など、生きとし生きるものを掬(すく)い、画面に放つように、万物の命の輝きを生み出しています。
この展覧会では、絵画や陶芸など約70点の作品より、大藪雅孝のあふれる創造の魅力をあますところなくご紹介します。