田中秀穂(1942-)は、1964年に武蔵野美術学校 本科工芸工業デザイン専攻(現・武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科)を卒業してから現在に至るまで、繊維(ファイバー)素材を用いた新しい立体造形表現を追求して、国内外の個展やグループ展でも作品を発表してきました。
本学工芸工業デザイン学科の教員として1972年に着任し、後進の育成に携わりはじめてからは、柔らかい布はもちろんのこと、木などの異素材と組み合わせたり、硬質なステンレス糸などをファイバー素材として積極的に用いた作品を世に送り出しています。また80年代には活動の規模をさらに広げ、砂丘を布で覆って燃やす大規模な野外パフォーマンスやインスタレーションを発表しました。近年では、「VANISHING & EMERGING」(消滅と変容)という相反する要素をテーマに、紙なども用いたテキスタイル表現を行うなど、多岐にわたって活発な作家活動を展開しています。
本展では、素材の魅力を最大限に活かした数々のテキスタイル表現から、田中秀穂の40年以上にも及ぶ作家活動の軌跡をご覧いただけます。