旗などのありふれたイメージや、ぼろ切れなどを用いて、即物性(そくぶつせい)、通俗性(つうぞくせい)を強調して注目を集めたアメリカのネオ・ダダに刺激(しげき)され、ほぼ同時代的に発生した日本の「ネオ・ダダ」は、1960年、廃品(はいひん)オブジェ、パフォーマンス、イヴェント等を特色とする反芸術的な運動を展開した前衛美術家グループでした。
このグループでは、大分市出身の吉村益信(よしむらますのぶ/1932~2011年)、風倉匠(かざくらしょう/1936~2007年)の二人が、創立メンバーとして参加活躍し、また、グループ周辺にいた宇佐市出身の写真家、石松健男(いしまつたけお/1936~2008年)は、作品を残さなかったネオ・ダダの、即興的(そっきょうてき)で、非再現的な激しい活動の様子をフィルムに収め、その貴重な記録者となりました。
今回は、「ネオ・ダダ」のリーダー的存在で、後にライトアート等で注目された吉村益信、主要メンバーで、後に国際的パフォーマーとして活躍した風倉匠の1960年代以降の作品、及び石松健男の「ネオ・ダダ」の活動を活き活きと伝える写真資料を中心に、戦後美術に新たな展開をもたらした、「ネオ・ダダ」の先鋭的(せんえいてき)な活動の状況をご紹介します。