シュウゴアーツでは、池田光弘の個展「location/dislocation」を開催いたします。池田は鑑賞者が絵画とどう関わり、 その時絵画はどう対峙できるのかということを考え、その方法を常に模索しています。今回は、特に絵の具の可能性とその効果を追求することで、コントロールできる部分とできない部分、そしてその中間に広く漂う、外でも内でもなくしなやかにせめぎ合う部分を、絶妙な按配で配置し作品化します。さらに「線」を多義的に捉え、リズミカルに繰り返し用いることによって、私達の身体性を増幅させ、絵画とそれが存在する場への積極的な関わりを促します。
絵の具が引き起こす現象と、線のひずみによって生じる空間のズレは、鑑賞者の能動的想像行為を引き起こします。そのズレの裂け目にはさまざまな不確定要素が粒子として浮かぶ、混在状態の宇宙が顕わに広がるかのようです。まるで呼吸しているかのように拡張・収縮を繰り返すその空間のズレは、私たち各々が持つ対象への認識のズレそのものなのかもしれません。