ドナテッロ、ミケランジェロ、ベルニーニ・・・。古代ローマ以来の輝かしいイタリア美術史の中でも、こと彫刻という分野においては、他のヨーロッパ諸国を遙に凌ぐ豊かな歴史が育まれてきました。その伝統は20世紀においてもなお受け継がれていきます。多様を極める20世紀美術の動向の中で、伝統と前衛との間で激しい振動を繰り返しながら、独自の、そして世界に範たる近現代彫刻史を形づくってきました。
この展覧会はその激動の20世紀イタリア彫刻の流れを概観するものです。メダルド・ロッソにはじまりマリーニ、マンズー、グレコ、ファッツィーニ等、伝統的な造形のなかで個々に独自性を発揮した巨匠たちから、フォンタナ、ポモドーロらによる前衛彫刻の多彩な展開、さらにアルテ・ポーヴェラというムーヴメントを経て21世紀につながる最新世代の作家たちの動向まで網羅しており、20世紀イタリア彫刻の足跡を総括する世界でも初めての彫刻展となります。