市川市では1970年代から市川ゆかりの作家、作品を中心に美術作品を収集しています。その中から今回は、日本画家伊東深水(1898-1972)の素描をご紹介します。深水といえば、華やかな女性像「美人画」で知られていますが、この作品は趣が異なります。1943年(昭和18)に海軍報道班員として派遣されたインドネシアやシンガポールで、4ヶ月に亘り描かれたスケッチは、鉛筆や筆のタッチも鮮やかに、まさに深水が見て、肌で感じた一場面を切り取った臨場感あふれる作品です。美術作品として、また歴史資料としても貴重なこの南方風俗スケッチを、没後40年を機に一堂に会してご覧いただきます。新たな深水との出会いが待っています。