イタリア具象彫刻の新たな伝統を築いた重要な作家であるヴェナンツォ・クロチェッティは、日本の具象彫刻界にも大きな影響を与え、これまで国内各地で展覧会が開催され、さらに美術館や公園などに数多くの彫刻作品が収蔵・設置されております。また2013年に生誕100年という記念すべき年を迎え、その記念すべき年にはローマのヴェネツィア宮殿を始めイタリア各地の美術館において大回顧展が開催されることになっています。
イタリア各地を巡回する大回顧展に先駆け、その前年にクロチェッティと縁の深い日本において実現した本展覧会は、2004年に開館したローマのクロチェッティ美術館並びにクロチェッティ財団の全面的な協力のもとにクロチェッティの彫刻26点のほか、素描19点、版画6点を通してあらためてクロチェッティ芸術の真髄をご紹介いたします。
また本展覧会は、クロチェッティ生誕100年を記念する展覧会の一環として開催されるとともに、東日本大震災により被災を蒙った被災地への文化支援という性格を有しており、その意味で被災地であるいわき市にとっても意義のある展覧会であるといえるでしょう。