アラーキーこと荒木経惟(あらきのぶよし/1940年生まれ)は、ヌードに代表される人物写真、花をはじめとした静物写真、都会を写す風景写真など、多彩な表現で世界的に知られる写真家です。
荒木は、昨年の東日本大震災直後から、亡くなった妻や愛猫との思い出の空間である自宅バルコニーや都内各所で、花の写真を撮り始めました。そして、猫がいなくなり廃墟となっていたバルコニーで緑色の植物が生えて花が咲く様子に、新しい生命の誕生を感じると同時に、多くの人々の命が奪われた被災地に思いを馳せるに至ります。そんな荒木の思いが込められた花の写真100点が、このたび被災地への復興支援として、岩手、宮城、福島(いわき市内)の仮設住宅に住む被災者に贈られることになりました。
今回の展覧会は、いわき市内の仮設住宅で暮らす人々に贈られる30点の作品を借用して一堂に展示するものです。生命力にあふれた色鮮やかな花の写真は、被災地への大きな励ましとなるでしょう。