日本では中国から将来された美術工芸品を「唐物(からもの)」と呼んで珍重してきました。とくに室町将軍家は宋・元・明時代の茶陶や漆工、絵画を積極的に蒐集し、それらは日本の美の規範として後代に受け継がれています。このたびの展覧会では、主に茶の湯の道具として用いられ、大名物や名物という格付けを与えられて大切に守り伝えられてきた、工芸と書画の名品を展示いたします。「唐物」の魅力と美しさにふれていただく機会になれば幸いです。同時に唐物愛好熱が高まりをみせた室町時代の美術にも注目。水墨画を中心に、中国文化への憧れと受容のかたちをご覧ください。
併せて、国宝「林檎花図」(伝 趙昌筆・南宋時代)を特別公開いたします(五月二十九日~六月十七日)。
季節の作品とともにお楽しみください。