ウィリアム・ブレイク (William Blake 1757-1827)
イギリスの画家、版画家であり、また神秘的傾向の詩人。ロンドンに生まれ同地で没した。14歳の時から数年間版画家バサイヤ(James Basier 1730-1902)のもとで技術を学ぶとともに、古い寺院内の彫刻を写生するなどして想像力を培った。30歳代以後「無垢の歌」(1789)、「経験の歌」(1794)「ウリゼンの書」(1794)など、自作の詩に挿絵をそえたものを刊行した。また、ミルトンやダンテといった古典や、同時代の詩文に着想を得て自身の霊的幻想を表現した水彩画や銅版画を創った。
生存中は一部の崇拝者がいたのみで世間からはほとんど理解されず、死後も長く埋没していたが、漸く20世紀になってその芸術が評価されるようになった。
「夜想」は詩人エドワード・ヤング(Edward Young 1683-1765)による死と霊魂の不滅をうたった10,000行におよぶ無韻詩。ブレイクは版元リチャ-ド・エドワーズの依頼によりこの詩集のための挿絵43枚を銅版に刻んだ。活字のテキストとそれを囲む絵画空間という構図が効果的に用いられている。1797年の刊行。