豊かな自然と堅実な県民性に恵まれた栃木県は、首都圏への通勤も可能なアプローチをも有し大きな発展の可能性を抱いています。農業や工業の生産では全国的にも重要な位置にあり、日光や那須など日本を代表する観光地も控えています。東日本の南と北をつなぎ、太平洋と日本海を結ぶ交通の要に位置している栃木県は、そのかたち、役割、ともに日本のハート(心臓)と呼ばれてもよい存在と言えましょう。
この展覧会はそうした栃木県に生きることの喜びと幸せを美術作品の中に見出そうとするものです。文化的には地味と思われている栃木県ですが、多くのすぐれた才能を生んでいます。この地を活動の場に選んだ芸術家が世界的な活躍を見せてもいます。今回は栃木ゆかりの作家の作品、栃木の風土や人間を主題とした作品約120点を、日本画、油彩画、水彩・素描、版画、写真、立体・彫刻、工芸の各分野から展示します。展覧会は作家別、年代順といった構成ではなく、四季のめぐりの中での栃木の暮らしを体験できるような展示とします。
吹いてくる風に、木々のざわめきに、そしてたくさんの人たちの姿に、この地に生きることの喜びをあらためて感じていただければと思います。