「魅かれるものに魅かれるままジーと眺める。大事なモノは見れば見るほど魂に吸い付き、不必要なものは注意力から離れる。ぼくはこれぞという所にカメラを向け、フレームの真ん中にそれを据え、ピントをギリギリまでよく合わせ、「エイッ」とばかりに気合を込めてシャッターを切る。」 (土門拳「私の美学」より)
日本人の心を探しもとめる「古寺巡礼」の旅を続ける中で、土門拳の眼は、工芸品や民芸品、建物の細部、やきものなどに美を発見していきます。日本民族の美意識が到達した宗教的な造形物や、用から発展した完成度の高い器物などが、彼の意志で選定された被写体となっています。