《初夏(はつなつ)の風》は1926年(大正15)、川上澄生31歳のときに制作され、第5回国画創作協会展に出品されました。若き日の棟方志功がこの作品を見て感銘を受け、版画家を志したことでも知られています。
この作品には、洋装をした女性を取り囲むように、擬人化された風が描かれています。女性に近づきたいという想いが風に託され、女性への想いが平仮名によるリズミカルな詩に刻まれています。詩と版画が一つの画面に見事に融合した、詩情あふれる作品です。
本展では、初夏の風薫るこの季節、川上澄生の代表作《初夏の風》を特別展示します。スケッチや関連作品も併せて展示しますので、制作過程やヴァリエーションをぜひご堪能ください。