大和文華館は昭和21年(1946)5月に財団法人として設立されました。しかし、この時には、美術館の立地さえ決まっていませんでした。全ては理想とする美術館の活動理念から始められました。美術館の活動の中核をなすのは所蔵作品であることは言うまでもありません。戦後の困難な経済状況において、最も力を注いだのは作品収集でした。日本を中心に、中国、朝鮮に及ぶ東洋の古美術作品を絵画、陶磁、漆工、金工など、幅広い分野にわたって蒐集し、14年間の準備期間を経て開館した昭和35年(1960)には所蔵品は751件を数え、現在では、2000件を越えています。
この展観では、「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)」をはじめとする国宝4件、重要文化財20件、重要美術品9件を含む大和文華館の優品を、前期・後期に分けて展示します。「染付山水文大皿」(重要文化財)・「青磁多嘴壺」(重要美術品)・「黒釉葫芦瓶」(重要美術品)などを含む、日本・中国・朝鮮・ベトナムの工芸は前期・後期を通じてご覧頂けます。絵画・書蹟は前期と後期で大きく展示替えをします。前期は、日本絵画では社寺曼荼羅・初期狩野派作品・近世初期風俗画の名品が揃い、中国絵画では「雪中帰牧図」(国宝)などが出品されます。後期は、日本絵画では平安から鎌倉の物語絵・雪村周継作品などが見所となっており、中国絵画では「蜀葵遊猫図」「萱草遊狗図」(重要文化財)などを展示します。なお、4月29日から5月6日の期間には、国宝4件を特別に全て展示します。 (学芸部)