資生堂の歴史は、1872年当時海軍病院薬局長であった福原有信が東京銀座に洋風調剤薬局資生堂を創業したことに始まります。
1916年には有信の息子、福原信三が化粧品部をたち上げ、現在に至る化粧品会社としての資生堂が誕生しました。
自らも写真家であった信三は公私両面で芸術を支援しましたが、1919年に開設した資生堂ギャラリーは、わが国における最も歴史ある画廊として、戦前戦後を通じて数多くの芸術家に活動の場を提供することになりました。
今回資生堂アートハウスでは、戦後のギャラリー活動を代表する展覧会「椿会」のなかから、最も長期にわたって開催され、また、資生堂の美術品コレクションの中核となる作品が発表された「第三次椿会」(1974-1990)に的を絞り、奥村土牛、高山辰雄、岡鹿之助ら創設時のメンバーのみで構成されている第1回展から3回展までを再現します。
これらの作家編成は、当時のわが国における具象美術界の一面を代表するものであると同時に、この時代の資生堂の美意識を体現するものでもありました。作品に通底する気品と優美、清冽さをご鑑賞いただくと同時に、資生堂が求めてきた美のイメージを感じていただければ幸いです。