源平合戦終焉の地、壇ノ浦を眼下においた赤間神宮(旧阿弥陀寺)は、合戦直後より安徳天皇をおまつりするとともに、海峡に消えた多くの平氏の魂をとむらってきました。
赤間神宮のはじまりは、建久二年(一一九一)このこととされています。朝廷は長門国に勅して御陵上に御影堂を建立させ、これが赤間神宮の前身、長門国阿弥陀寺の創始となったといわれています。創立以後、多くの御宝物を蔵しておりましたが、戦災によって焼失したものも数知れません。このたびは戦災をまぬがれ今も赤間神宮に伝わる御宝物を、まとめて見ることのできる初の機会となりました。
「紙本墨書平家物語(長門本)」(重要文化財)、「赤間神宮文書」(重要文化財)、「紙本金地着色安徳天皇絵」(山口県指定有形文化財)をはじめとする、平氏ゆかりの美術・歴史資料をあまねく展示します。一堂に会した御宝物を通して、およそ八〇〇年前の世界へと想いを馳せてみてはいかがでしょうか。