ヨーロッパ芸術における女性の表現は、古代神話の女神、キリスト教の聖母マリアにさかのぼることができます。
幼いキリストを腕に抱くマリア像や、十字架の犠牲となったキリストを思う悲しみのマリアには、母としての愛情や悲嘆が時代を問わず感動を与えます。18世紀ロココの時代には、高貴な女性の肖像を女神に見立てて描くこともなされました。また、美しく官能的な女性の裸体画は、女神の姿を借りて描かれました。画家たちにとっても、いかに女性の真珠のような滑らかな肌を表現するか、腕の見せ所でもありました。19世紀後半に入り、様々な階級、ジャンルの実際の女性が、着衣、裸体を問わず自由な表現で描かれるようになります。気品に満ちた姿、憂いを含んだ表情、愛らしい笑顔、いつの時代も女性が美しく輝く瞬間が、永遠にカンヴァスに閉じ込められています。
山寺 後藤美術館所蔵の17世紀から19世紀に描かれた女性・少女の肖像画28点と静物画7点を合わせてお楽しみください。