誰もが見過ごしてしまいそうだけれども、ふと気がついて見つめていると、穏やかな陽光を浴びて静かに輝きはじめるような、そんな郷の自然に潜む風景。水彩画家・柳田昭氏は、そうした故郷の原風景の中に自らの作品のモチーフを見出し、独自の水彩画世界を確立してきました。
1948(昭和23)年、柳田は真壁郡協和町(現・筑西市)に農家の長男として生まれました。高校時代に絵を描くことに魅了され、努力を重ね、1996(平成8)年、最後の安井賞展と言われた第40回安井賞展において小川の水門を描いた「水温む頃」が大賞を受賞しました。2000(平成12)年以降は、少年時代からの憧れの地であるフランス南部のプロヴァンス地方にて、知己となった1軒の葡萄農家に滞在しながら、南フランスの農村風景を描き、新たな境地へ挑戦を続けています。
今展では、大気の温度までも感じさせる柳田昭の作品世界を、近作を中心に約70点の作品にて展覧いたします。会期中には、特別企画として作家による作品制作パフォーマンスも行います。