本展は、私たちの日常生活に密着している箱をテーマとして取り上げて、その形態を表現に導入している現代日本の作家5名の作品を紹介します。
日常誰もが使っている箱状のものは、内側にひとつの独立した空間を作り出す性質をもっています。そこには単に物を収納する用具を超えて、子供のころになれ親しんだオモチャ箱やお弁当箱などから感じられたように、不思議な世界や特別な思いが存在していたり、また説話・浦島太郎で約束を忘れて開けてしまった玉手箱のように何か秘密めいたものが潜んでいることがあるようです。
開けてみたい、覗いてみたいという衝動をもたらす装置ともなる箱の形態。箱のなかを覗きこむことで、5名の作家がそれぞれの素材と手法で形成した個々の作品世界へと誘います。そこにはいったい何がこめられているのでしょうか。想像力を解き放ち、箱をとおして広がる不思議な美術の世界をお楽しみください。
出品作家/内倉ひとみ、神山 明、酒井賢司、杉山健司、平林 薫