この展覧会は、島崎藤村の次兄広助(妻籠宿本陣の最後の当主)の曾孫に当たる島崎古巡(カナダ在住、地理学者)が藤村の歩みを水彩画で辿った71点の作品の中から、小諸にゆかりのある作品など25点とその解説文を展示するものです。展覧会にあわせて出版された画集の解説によりますと、作品の中には現地でのスケッチから仕上げたものの他、現況からはかつての様子が判然としないため、古い写真、絵はがき、版画、さらには藤村の風景記述から仕上げたものまであるそうです。
十代でカナダに留学し、その後帰化、さらに長らく海外で過ごしたためか、日本の山河を描いた作品からは独特の思い、郷愁が感じ取れます。また、藤村の小説などを理解する上でも適切な資料かと思われます。水彩画に関心のある方はもとより、藤村作品に関心のある方にも是非見ていただきたい展覧会です。
会場には、島崎藤村が教鞭をとった小諸義塾で図画の教師を務めた現東御市出身の丸山晩霞、丸山晩霞に影響を受けやはり義塾で教師を務めた三宅克己、義塾に学んだ小山周次の水彩画など約40点も展示されております。