北区飛鳥山博物館は大正から昭和時代の駅弁掛け紙資料を所蔵しています。駅弁掛け紙は、懸紙・化粧紙・包み紙・駅弁票・レッテル・ラベルとも呼ばれ、印刷技術の進歩とともに多種多様なデザインが作られました。そのなかには、駅近辺の名所旧跡が描かれているものもあり、一種の観光案内としての性格もありました。駅弁掛け紙からは郷土の名所旧跡への誇りや駅弁を作る人々のあたたかいメッセージが今に伝わってきます。
本企画展は、これらの掛け紙に描かれた駅弁の名称や全国さまざまな名所・名物・名産などを展観し、近代の鉄道文化の一端を担った駅弁の多彩な魅力を展示するものです。また鉄道の発達と食の楽しみをより多面的にお示しするため、明治時代に創業した駅弁関連企業や個人コレクター所蔵の資料も交えて、駅弁の生産と消費をとりまく近代の文化史を分かりやすくご紹介します。春の散策がてら、ぜひお立ち寄りください。