現在は兵庫県の一部であり、近畿地方に属している但馬地域。しかし、日本海を通じた交流が盛んであった但馬は、風土や文化に山陰地方の影響も多く見受けられます。
但馬は、北に日本海が広がり、そのはるか向こうにアジア大陸を臨む位置にあります。日本海は、北からのリマン海流と南からの対馬海流がぶつかりあうとともに、沿岸部の地形は出入の多いリアス式海岸であり、船舶の停泊地として適した天然の良港も見られます。さらには、中国山地を越えて瀬戸内海側との交流も多く、古から但馬は活発な交流の中でさまざまな文化に触れることができる地域だったのです。
今回の展覧会では、弥生時代から奈良時代にかけての出雲~丹後に至る日本海沿岸地域の出土資料から、但馬の文化交流の様相とヤマト政権の動きを概観し、「但馬は近畿か山陰か」を考えます。これを機に、但馬の歴史・文化の成り立ちや特質を感じていただければ幸いです。