縄文・弥生の土器のかたちや装飾の美しさは、長い日本美術の歴史の中でも突出しています。それは考古学的見地からだけでなく、美術としてみても非常に重要な意味を持っており、ジャンルを超えて現代のさまざまな芸術家たちに大きな影響を与えてきました。
土器はどのようにしてつくられたかは未だに謎の部分が多いものの、どれも本当に心を込めて丁寧につくられています。中には時代が一万年以上もさまのぼるものもあり、太古の人々の美意識が現代の我々の心に相通ずるものがあることに驚かされもします。
第10回目を迎える藤沢市30日美術館では、市制施行70周年を記念して、日本美術の原点ともいえる、縄文・弥生土器を展示します。力強く生命力溢れる「縄文」に対し、繊細で端麗な「弥生」――そのどちらも魅力でいっぱいです。出品する土器はすべて藤沢で出土したものです。
今回、その原始の美と現代の音楽との融合を試みます。世界を舞台に活躍する地元湘南の若手作曲家、武智由香がこの空間に呼応する音の造形を施します。本展のために創作された音のインスタレーションと、太古に生み出された土器との時空を超えたコラボレーションをお楽しみください。