17世紀中期、佐賀鍋島藩は、将軍家や幕閣への献上にふさわしい最高級のうつわを作るべく、藩窯の構築に乗り出しました。意匠はもとより窯業地も含め、民窯である伊万里焼とは一線を画し、採算度外視で最高の原料と技術の粋を集めた大名のうつわ。その様式が完成し最盛期を迎えるのは17世紀後期のことです。これらの作品は今日「鍋島(鍋島焼)」とよばれ、日本陶器の最高峰に位置づけられました。その後、明治4年(1871)の廃藩置県まで鍋島藩窯は続きましたが、18世紀後期からは、鍋島独特の厳しさや格調の高さが徐々に薄れ、意匠の定型化も始まりました。
今回の特集陳列では、200年あまり続いた鍋島藩窯の初期から幕末までを、約60件の作品でたどります。
変遷と併せて、陶器の精華と謳われ人々を魅了する鍋島を堪能いただきたいと思います。